妊娠・出産期・更年期の女性に多く発生すると言われる手根管症候群についてお伝えしていきます。
手根管症候群は手のひら側の人差し指・中指、さらに親指・薬指の半分にも痛みや痺れが出てしまうような症状です。
発症してしまう理由はハッキリとしたものは分かっていませんが、正中神経が手首の手根管という隙間を通る時に圧迫されてしまい症状が出ると言われています。
朝などに症状がひどくなることもあり、手を振ると楽になったりします。
神経の圧迫で指の筋力も低下して、特に親指のOKサインを作りにくくなってしまうこともあります。
つまむような親指を使う手の作業が大変になったりしてしまいます。
神経の問題がありますので、まずは病院で治療方針を決めてもらうことが大切になります。
そんな手根管症候群の手術をしない治療について一歩踏み込んでお伝えしていきます。
手根管症候群の一般的な治療と筋膜マニピュレーション
一般的にまずは手術を行わない治療が行われます。
- 痛み止め
- ビタミン12
- 湿布
- 注射
- 安静
- 仕事量の調整
病院に行くとこのような内容で治療を受けることが多いのではないでしょうか。
診断の結果、母指球がやせてしまうような神経へのダメージが強い場合、または腫瘤が原因であれば手術が行われます。
そうでなければまずは手術せずに様子をみていくことになります。
手術をするにもリスクが存在しますので、主治医とよく相談の上決めることになります。
治療の失敗と合併症は、すべての手根管をリリースする手術の1%から25%で発生していた。
引用元: Evaluation and Treatment of Failed Carpal Tunnel Release
上記の2012年の論文によると手術による治療の失敗と合併症は、1%から25%で発生するということなのです。
血腫、感染症、皮膚壊死などの合併症や症状が続いてしまうこと、再発なども起こりうるということです。
こういった背景もあり、まずは手術をせずに治療をすることが勧められます。
では一般的な治療の他にできることはないの?ということをお伝えします。
筋膜への介入効果を調べた研究がありましたので、ご紹介します!
筋膜マニピュレーションとレーザー治療で効果を比較
筋膜マニピュレーションを受けたグループは、主観的な痛み知覚の減少と、治療終了後および3か月後の調査終了時に評価された機能の増加を示した。
レーザー治療を受けたグループは治療終了時に機能の改善を示したが、3か月の追跡調査までは持続しなかった。
筋膜マニピュレーションを受けたグループは、痛みの減少が得られて、手の機能も治療終了した3か月後のまで改善されていたということです!
レーザー治療のグループでは治療終了時に機能の改善を示したが、3か月の追跡調査までは持続しなかったようです。
少し詳しくみていきましょう。
電気生理学的検査で手根管症候群と診断された42名(女性29名、男性13名)を対象に筋膜マニピュレーションを受けるグループと低出力レーザーによる治療を受けるグループに分けて比較を行われました。
治療は週に1回で全部で3回実施。
状態の確認として治療前と治療終了の10日後、治療終了の3か月後に検査を行ってその結果を調査。
治療前の痛み(VAS:0が全く痛くない、10が想像できる最も激しい痛みで表されている検査)
- 筋膜マニピュレーションのグループは6.00→治療10日後で0.8→3か月後0.71
- レーザー治療のグループは5.51→10日後5.00→3か月後5.03
筋膜マニピュレーションのグループは治療終了後から痛みが減って3か月後も保たれています。
筆者らは筋膜マニピュレーションは手根管症候群の有効な代替治療法ですということを結論付けていました。
この治療方法は肩から手までの広い範囲を筋膜マニピュレーションを行っています。
手の症状であっても、患部だけへの治療では解決しにくいのではないでしょうか。
ちなみに、この論文の2番目の著者であるMarco先生に筋膜マニピュレーションを教えていただきました!
右側がMarco先生です!私は真ん中です。
まとめ
手根管症候群は神経の状態によっては早期に手術が必要な場合があるので、病院で診断してもらいましょう。
経過を見るということになれば痛み止めや安静にするという以外に、筋膜マニピュレーションによる治療が論文で有効と言われています。
症状が治まらずにお悩みならこれ以上悪化する前に今すぐご相談ください!
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